【あの頃・母と】
3枚の銅版画の最後の作品、タイトルは「with mother in the afternoon」。
天音を抱いている絵を見て、抱いている自分をどうして描いてるのですか、
写真に写して、それを見て描くんですか、と聞かれたことがあった。
絵を描き始めの頃は、夫が写した写真を参考にして描いていたけれど、
夫は絵のモデルとして、母子を写真に写してるわけではないので、
だんだんその写真が面白くなくなってきた。
時々、こんな抱っこは、実際はないなあと思うけれど、
それが絵としておもしろかったりする。
天音が亡くなってからは、もちろん想像の母子を描いている。
スッケッチノートに向かうと、新しい天音像を描こうと思うのに、
鉛筆を持った手が、やっぱり母子像を描き始める。