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「湊町リバープレイス」、モノクロ銅版画に手彩色

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山口ヒロミ「湊町リバープレイス」、銅版画(ed.10、エッチング、ガッシュ、紙、シート192×245ミリ、額410×525、2002年)
作家のカラー作品は、すべて銅版によるもの。出版の仕事では版画ではなく、ドローイングやイラストレーションによる作品もあります。
この作品は、大阪市の季刊広報誌の裏表紙に「大阪まち歩き」というタイトルで、絵はヒロミ、文は平明という組合せで二年間八回連載させてもらったうちの一枚です。
天音堂ギャラリーのすぐ南を流れる道頓堀川の河畔にたつ音楽ホールと、野外イベント広場と舞台からなる大阪市の施設です。ときどき散歩に行きます。




●大阪まち歩き/湊町リバープレイス

【心がのびのび水辺の広場と遊歩道・・・・・・・・・・山口平明】

 わが住まいから少し歩くと、道頓堀川に行きつく。晩秋から冬にかけて、な
にわ筋にかかる西道頓堀橋を渡るとき、川に浮かべてある大きな丸太にユリカ
モメが列をつくりとまっていたのをよく見かけたものである。それがどうした
ことか、もうこのごろはほとんど見ない。丸太も消えた。

 大阪の町は今でも堀や川は多い。ユリカモメはその川にそって海のほうから
町の中へ飛んでくるのだろう。人に飼われているのではなく、自然界で自由に
生きているユリカモメのような生き物を眺めると、町暮らしのわたしは気持ち
がなごみほっとする。

 四ツ橋筋の南端、道頓堀川と交わるあたりに国鉄(現JR)の湊町駅があっ
た。今はずっと南に移されたJR難波駅の前身だ。かつては関西線(現・大和
路線)の起終点駅として、長距離寝台列車や貨物列車が走っていた。湊町とい
う地名も、道頓堀川の川港に由来してつけられたのだろう。

かつて幼い娘を市大病院で診てもらうため、湊町駅から天王寺駅まで電車
に乗って三人で出かけたこともあった。

 その水上と陸上の交通がであう湊町が二〇〇二年四月、現在の交通の主役
「クルマ」が走る阪神高速道路の湊町ランプに変身。また七月、ランプをおお
う約七千㎡を使い、立席で千五百人収容の音楽ホールと四層からなるイベント
スペースの立体広場がオープンした。湊町リバープレイスの誕生である。

 夕食後、妻とここまでよく散歩に出かける。七階建ての高さなのに、八角形
の駒のような外観が人目をひく。道頓堀川にそっていかにも堅牢そうな木材を
敷いた遊歩道は、まるで桟橋をいくような趣きだ。

コンサートが終わった直後などは若い男女がそこかしこにいてにぎわってい
る。休日にはフリーマーケットが開かれる。昼間、ユリカモメがデッキの柵にと
まっているのを、すぐそばの深里橋から見かけた。

==============[大阪市市民局「しごと情報ひろば」2003年1月刊]
by amanedo_g | 2006-09-19 19:59 | Hiromi Yamaguchi
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