【20日】定休日に画廊内作業

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★そぞろ通信★4月号*2003-4-16
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発行☆山口平明(天音堂倶楽部)

*>もくじ<*
[1]漫歩系_運命と呼ばれるいのちを抱っこしていた|山口平明
[2]山口ヒロミ[新潟絵屋]展覧会のご案内
[3]家事細見帖・モノ捨ての巻|岡本尚子
[4]編輯後記|へいめい
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■1■漫歩系sozoroaruki...............................山口平明

  【運命と呼ばれるいのちを抱っこしていた】
-殺された娘を抱くイラクの父の写真に思うこと-

ひどい不整脈が日常のことになって久しい。脈が速くなったと思うと、
たちまち切り替わって間遠になる。これらが不規則に生きている限りつ
づく。

脈が速くなる状態を心房細動という。このときが危ない。ポンプの常
にない律動に血流がついていってない。そうすると粘った血液は血栓を
作りやすくなる。血栓ははがれて血管を流れて脳で梗塞を起こす。心臓
から脳に流れる血液がもっとも多いからそうなりやすい。

早足で歩くのは今の私には無理。心が急いても足どりはゆるりといか
ねはならない。とかく歩幅も狭くなりがちだ。意識して広くとって歩こ
うと努めるものの、テンポを上げると脚の筋肉がなきをいれてくる。
             *
弱いと自覚している者は、強い者たちに対してどのように対したらよ
いのだろうか。しかもその強き者たちは、じぶんは正しいと思いこんで
おり、己が善だから反対者や刃向かう者は敵として悪だと決めつけてく
る。思いこみと決めつけによって弱い者に沈黙を強いる。

打つ手はないようだ、当分。お手上げか。弱さが秤の上で計量されれ
ば、強さのほうは針がふりきれてしまうだろう。秤に載せてしまうと弱
いことはピンポイントの一点にしかないから、強いことは沙漠の砂嵐の
ように猛威をふるう。私たちには台風と地震といえば分かりやすい。

まだ五〇億年はもつという地球に、強いことが至高善という恐竜がの
さばっている。恐竜を育てたのは、ピンポイント側にあるへつらいと媚
びとおもねり、ときに冷笑と諦念であったろう。それらは優しさと総称
してもよい。その基底を支えているのは、己の暮しに追われる無関心と
不勉強による無知である。これらすべてどれもこれも私の中にある私た
ちだ。

いま、現前する情況で、私は言葉の虚しさに堪えなければならぬ。強
い者たちは、感情に流されやすい弱い人びとを、思いこみと決めつけと
いう狂信に裏打ちされた進歩至上原理で教育啓蒙指導してくれる。

私はじぶんのなかの私たちという弱さをさらけだし、感情の隊列をま
ず平静なる律動へ向けてととのえないといけない。心を抱きとる言葉を
温かな論理として紡ぎださねばならない。それがじぶんの頭で思考する
ということのはずだ。血液はますます脳に殺到するだろう。

急がば廻れ。廻れないならとろくあれ。歩みのテンポをゆるめよ。進
めないなら引き返せ。取り巻かれたら窮鼠にならず白旗を掲げよ。逃げ
られるなら逃げて、地の底でまずいのちをつづけろ。何千年後の他日を
期せばいい。なんだったら数億年の先でもよいではないか。
              *
娘の天音が生まれた一九八一年六月から、「あまね通信」という紙の
ミニコミを世の中に向けて発信し始めた一九八八年二月までのあいだ、
私たち三人は砂嵐のなかに隠されていた。あの子の頭のなかで脳神経の
台風が毎日毎日吹き荒れていた。

神はもちろん仏も現れなかった。女と男で二人だけでやっていくほか
なかった。砂嵐と台風は、運命を呪ういとまも与えてくれなかった。天
音の瞳の光りに鼓舞されて、私たちは奮い立ち一所懸命に運命を受け入
れ天音のいのちをもたせた。

二人の奮励努力には、天音の躰の温かさが報いてくれた。いのちの抱
っこ。私たちは運命を抱きしめていた。運命と諦めず、かといってあら
がいもせず、私たちは回教の人びとのように同胞愛をはぐくみ、砂嵐と
台風の弱まるのをただ市井に隠れて棲み暮した。

これはひょっとして信仰のようなものなのかもしれない。苛酷な運命
を諦念ではなくしなやかに受け入れたとき、心は震え温かな報いが用意
されていたのだった。「しなやか」がかっこよすぎれば、しぶとくした
たかといってもよい。

ささやかな証を揚言するわけではない。回教における同胞意識がもっ
ているしなやかさが、狂信者たちに「衝撃と恐怖」を与え、それであの
ような大量虐殺に駆り立てているのではないかと思いいたって、いじょ
うのようなことを書き記しておく。[2003-4-16記]

[平明註]
○イラク侵略戦争で殺されたのは子どもが多い。現地の写真がスライド
として並んでいるサイトを覚悟して見てください。ヒロシマの被爆写真
を見た人ならおそらく耐えられるでしょう。子を抱いた父親もいます。
http://www.robert-fisk.com/iraqwarvictims_mar2003.htm

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■2■山口ヒロミ[新潟絵屋]展覧会のご案内

【天音amane 原画展 2003年5月12日(月)~5月20日(火) 】

脳に重い障害を負って生まれた娘、天音。
片時もそばを離れられない24時間看護の日々の中で、
硬直し曲がりくねった娘の肢体が、
少女の色香を漂わせていることに気づいたころから、
そのあるがままの美しさに魅せられた母、ヒロミさんは、
なまめかしくも奔放な姿態を
ペン画、パステル画、銅版画にと描き続ける。
生きるすべてを奪われながらも内側から溢れ出す
生への強靱な意思までをも深い眼差しとともに感受、
普遍の輝きを放つ表現へと昇華させた作品に接した作家、
松下竜一さんは「さながらシャガールの絵を想わせる」と評した。
今回の企画展では、画文集『天音』所載の
銅版画を中心に30点ほどを展示。
19歳と4か月で逝った天音さんとの濃密な歳月がたっぷりつまった
“天音ワールド”にぜひお越しくださいますよう。
(自然食通信社代表 横山豊子)

■ 2003年5月12日(月)~5月20日(火)
  新潟絵屋 午前11時~午後6時 無料
新潟市並木町2386 TEL&FAX 025-222-6888
地図 http://www.hanga-cobo.jp/eya/eya04.htm
   HP http://www.hanga-cobo.jp/eya/
■ 5月17日(土)午後2時から
  ★山口ヒロミさんのトークがあります。
    聞き手 大倉宏(美術評論家)
会場:新潟市美術館講堂 新潟市西大畑町5191-9
    資料代 500円  ※直接会場へお越し下さい。

[画家・ヒロミさんからひとこと]
新潟は初めて。福音館書店の佐藤滋さんの推薦で企画展が実現いたし
ました。感謝です。私といっしょに新潟へ行きませんか。参加希望者は
早めにメールでご連絡ください。佐渡へも行きたいと思ってます。平明
氏は行かないそうです。

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■3■家事細見帖/モノ捨ての巻.........................岡本尚子

おもちゃ捨て 時代の区切り 春深し

 物を捨てる、という作業…つらいなと思う。もともと”捨てる”とい
うことに抵抗を感じる。子供の頃は何も捨てなかった。捨てるというの
は家事をするものの役目だろう。

 捨てなかったら、物でいっぱいになる。片づけるということは捨てる
こと…。私の家族はものほしそうな顔をしているからか(笑)、古着か
らおもちゃから自転車から、みんな人からいただいた。子どもが多いか
ら、次々着て、使って捨てる。そうしていても引出しや押入れは、いつ
もごちゃごちゃでアル。 

 部屋の中の棚を見ると、グリコのおまけ、子供の図画工作の作品、ど
こかの入場券などが置いてある。床にころがっていたものを掃除する者
が捨てるにしのびず、置いたのだろう。いっぱいになってきて結局私が
捨てる。

 積木、ブロック…いただいたり、買ったりしたおもちゃ、20年ほど活
躍した。もう使わない。赤ちゃんのオンブひもももういらない(これは
下の子が4歳になるまで取材先に電話をかける時の貴重な道具だった)。
使うかなと思い置いておいたものも結局、次の年に捨てる。思い切りが
良い方が、物を取り出し易いと分かっているけど…。

 今日はがむばってゴミ袋5つぐらいは出そう! でもこれって公害で
すよねぇー平明さま。
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◎[平明庵愚見]何ももたずに生まれてきたのだから、死ぬときも身の周
りを整理してさっぱり無一物になって死んでいきたい。天音を育て、と
もに暮らし、そして見送るという私たちにとって難事業をなしおえたい
ま、じぶんのいのちが絶えるまでのわずかな年月をアタフタせずに過ご
したいと心底より思う。

だがしかし、俗世の生身であってみれば、まず飯喰いをせんといかん
から困りはてている。モノよりも、捨てるのはわが身こそと思われもす
る。二十年ものあいだ獅子奮迅の働きをした妻ヒロミの辛苦を思えば、
もう少し糞張らねば、[夫]失礼、踏ん張らねばならないのだが…。

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■4■編|輯|後|記..................................へいめい

☆ぼくの今回の文章は、「あまね通信」読者や生前の天音と出逢ったか
たには通じるでしょうが、なんのこっちゃと訝しく思われる方々は、天
音の誕生から数年の暮しをまとめた著作があります。

病気のあとで出版してもらったものです。版元さんの倉庫で「お外に
出たいよう」と、天音が唸り声をあげてます。サ印入り本をご希望のか
たはぼく平明宛てにメール・葉書・FAXでご注文ください。その本の
題名は『娘天音 妻ヒロミ』、1680円、ジャパンマシニスト刊。アマゾ
ンサイトでも注文できます。

☆ガンジー訳者の片山佳代子さんのサイトにでていたタゴールの詩の一
行をあげておきます。元気でしなやかにいきましょう。 (平明)
《汝が声誰も聞かずば、一人歩め、一人歩め》

◎本誌は【1行32字】で改行、閲覧には【等幅フォント】が推奨です◎
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月刊【そぞろ通信】4月号_#19□2003-4-16発行配信
創刊2001-10-16□「あまね通信」改題通巻104号
編輯発行人□山口平明(天音堂倶楽部

※転載はまんまをコピペ/引用や複製は出典明記/[へ]にメイルほしいナ
転送したいとき、相手のアドレスを知らせてもらえば直に配信しますヨ
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*「そぞろ通信」4月号kokomade
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by amanedo_g | 2008-08-20 18:34 | haymay 山口平明
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