【平明文集】☆「そぞろ通信」30号☆2004-3-28配信分

〇堂守こと山口平明が過去に書いたテキスト(文章)を再録転載しています。
ご興味のあるかたは、左下のMoreをクリックしてご覧ください。





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★そぞろ通信★3月号*2004_3_28
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発行☆山口平明(大阪・天音堂G)
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■もくじ■

[1]石井一男展を感想主義から書くと_/~加藤正太郎
[2]映画「自転車でいこう」への思い_/~斉藤陽子
[3]天音堂ギャラリーschedule
【蛭井明子作品展 4月2日(金)~4月6日(火)】2004年
[4]編輯後記_/~haymay山口

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■1■石井一男展へ「感想主義」からひと言......加藤正太郎

【人というものの持つ感情の数や強さ】

 平明さん。【漫F】(石井一男展のご案内 天音堂040311 )で紹介さ
れていた、「わが日本では学校教育で描く教育ばかりさせられて、見る
教育がなされていない」という指摘、印象に残ります。なるほど僕にも
それを教えてもらった記憶が一つもないし、実のところ(そのせいか)
ほとんど「絵」というものに関心がなく、「独学」したこともないので、
実際にそれをどう「見て」いいのか分からないのです。

 ところがそのくせ僕は、「見て」感じたことを「よかった/よくなか
った」だけですますのではなく、その内容や理由を少しでも言ってみる
のが、鑑賞者のささやかな努めじゃないかとも考えていて、そんな態度
のことを、いつの間にか「感想主義」と名づけもし、ときには標榜して
さえもいるのです。

 それで、そんな僕にとってのその「善し悪し」の基準はいったいどこ
にあるのかというと、「何かを思い出させてくれるかどうか」にかかっ
ているようなのです。そのことを今回、石井一男さんの絵を見て、今さ
らのように思い直したのでした。

 忘れていた体験や懐かしい感触やがやってくると、ですから僕はそれ
を「善い」としているはずなのですが、石井さんの絵から「見た」もの
は、そういった過去(の自分)の再来というのとは少し違っていて、何
と言っていいか、人というものの持つ感情の数や強さについて、である
ような気がしています。たとえば恐ろしい嫉妬や消し去りたい失敗(あ
るいは願い)、そんな光景を、こめかみを支柱にするかのようにして、
頭蓋の中にピンと張ったスクリーンに何度も焼き付けながら、このよう
だったのか、もしこのようであったならば(こうであってほしい)、と
緊張と弛緩との反復にへとへとになってしまう、そんな感情がたくさん
あるはずだと教えられるような気がします。

 平明さん。実はいま書いた僕の感想は、特に気になった一点、目を見
開いた女性の見つめている「何か」への連想から来たものではあるので
すが、それは、この一点から次の絵へと右90度回転したときに出会った、
さっきとは正反対のような、ある強い穏やかさや、それに、とてもとて
もよく似ているのに、同じものが一つもない二十数点、という印象とも
繋がっています。

 日頃の自分は感情や思いや願いというものの数を、ずいぶん少なく見
積もっているんじゃないか? という、なんだか教訓めいた言葉を、今
回の南堀江訪問に付しておきたいと思ったのでした。石井さんによろし
くお伝え下さい。            (2004年3月21日受信)

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■2■映画「自転車でいこう」への思い.........斉藤陽子

【愛しさとうっとうしさ、私のプーミョン】

 私がプーミョンと出会ったのは十三[juso 大阪の地名 へ注記]の第七
芸術劇場。大きなスクリーンの中を、彼は気持ちよさそうに自転車で走
り抜けて行きました。

 プーミョンは誰彼となく質問します。「ガスコンロのガスとおならの
ガスは一緒なん」とか「へえー」と感心したり笑ったりしながら実は大
人には「わからない」ことが恥ずかしくてできない質問。そのことばに
わが家の5歳児(♂)との日常を思い出し「わー何か似てる」と愉快な
気持ちになってしまいました。そう! この交互にやって来る微笑まし
さとわずらわしさこそ私の日常的感情なのです。

 遠くで彼を思う時感じるいとしさと、近くで沢山の質問や欲求に応え
るうっとうしさ。その繰り返しの感情をきっと、この映画の登場人物達
は皆感じていると思います。それは小さい子を持つ親、老いた親を持つ
子にも共通した「家族への思い」に限りなく近い気がします。

 日々、自転車を漕ぎながら駆け抜ける町のあちこちに、彼は寄り道の
場を持っていて、いつも質問を浴びせかけ自分の要求を押しつけ、時に
叱られ時におちょくられ時に優しくされて、いつの間にかそこに自分の
居場所を作ってしまう。その最初のきっかけが質問なのです。彼の質問
にふつうに答えてくれる人達は、彼に隣の席をあけてくれます。彼自身
ちっとも意識していないと思うけれど、質問によって彼は人を見極め、
探している。理解者をキャッチするアンテナのような、名刺のようなも
のです。

そうやって行ったあちこちで知り合いを作り、頼れる先を探してプー
ミョンは毎日を過ごしています。今日もきっと「富永工務店、営業行け
るん?」とか言いながら違う目的地にむかって自転車を漕いでいるにち
がいないな、なんて想像して私もにやにやしてしまいます。

 足のむくまま気の向くまま、寅さんみたいに気ままなプーミョン。そ
の毎日は「大人」という仕事を持つ人達には腹立たしいだろうな、と思
います。「能率」とか「実績」とかを追って生きざるを得ない大人には
「自分」とか「自由」とかを考える時間は限られるし、まして「大人だ
から」というだけで嫌な仕事や人間関係も我慢して当然と思われるから。

 プーミョンだって大人だって、全部自分の思いどおりにはならないの
が世の中だけど、あっちこっちにつっかかり、理解者を求める生き方っ
てすごく必要だと思います。あちこちにゴンゴンぶつかりながら、自分
の欲求をぶつけつつしたい事をしようと生きていく。

 その自然なやりかたがプーミョンの魅力だと思います。日頃自分を抑
えている人には、しんどいかも知れないけれど、ヤクザ映画を観た人が
歩き方から変わるように「自転車でいこう」を観た人も寄り道して自分
のほんとの気持ちを見つけられたらいいなあと思う私です。

 自転車を漕いで好きな角を曲がり、好きな人に会いに行こう!

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■3■天音堂ギャラリー2004年4月のご案内

〇2004年4月2日(金)~4月6日(火)
【蛭井明子作品展~残された山里を描く】
12時~19時 最終日17時まで 期間中無休

日本の懐かしい心安らぐ山里風景の水彩画です。作品を見る人が、絵
のなかの風景にはいっていきたくなるような雰囲気をもっています。蛭
井さんは、失われていく景観を惜しむ私たちの記憶にきざむように、残
された山里をたずねて丹念に描かれています。

〇天音堂ギャラリー 06-6543-0135
大阪市西区南堀江1-18-27-611 四ツ橋セントラルハイツ【6階】
〇地図(ここをクリックしてくだされば街路図がでます)
http://www.mapion.co.jp/c/here?S=all&F=mapi2224364040306164502
地下鉄・四ツ橋線「四ツ橋駅」5番出口、四ツ橋筋を南へ(難波方向)
数分、右手に立花通商店街(元は家具屋が多かったが今は堀江の顔)の入
口を通り過ぎて一本南の道(三津寺筋の延長)を右(西)へ曲がります。あ
とは左側の歩道を歩くこと2分、赤い消火栓の標柱がたっている前の建
物です。コンビニ「ファミリーマート」を目標にどうぞ。
★地下鉄出口から四ツ橋筋を一回曲がるだけです。★曲がり角の目標は
「パロスビル」。尋ねるときは「大野記念病院」か「駿大予備校」。そ
の手前(東側)のビルです。★ギャラリーは一階にありませんのでビルの
エントランスをはいってエレベーターで6階までお越しください。★エ
ントランスのすぐ隣はエイコー測器という会社です。同じ一階にあるフ
ァミリーマートまで行くと行き過ぎです。★エントランス前の歩道に看
板を置いてます。迷ったら早めにお電話ください。

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■4■編輯後記henshukouki 車に口と耳で「あつめる」読みはシュウ

☆筆者紹介です。加藤正太郎さんは大阪の夜間高校の数学教師。四十代
初めかな。独身。小生の呑み友達であります。あるサークルで知り合い
ました。そうそう、天音堂ギャラリーでも語り合うサークルをやってい
きたいと考えています。「そぞろ通信」の感想あたりを入口にしましょ
うかね。読者のオフ会ですワ。酒とつまみ持ち込み歓迎。第一回は、4
月11日(日)午後4時~天音堂ギャラリーにて、会場費500円。

☆斉藤陽子さんは文にあるように一児の母、京都のある集まりで知り合
った。2002年秋、神戸でヒロミさんの展覧会をしたときお手伝いし
てもらった。爺さんにとって若い女性の友は、ハハ、実に嬉しい。それ
はエロ爺イやないかという説もある。谷崎潤一郎を思いだすなあ。まあ、
拾ったいのち、余生なんやから許してくんさい。

☆「そぞろ通信」を中旬に、「あまそぞ」を下旬に発行したいのになか
なかうまくいかない。来月こそはと思っているのですが。

☆4月下旬から5月にかけて山口ヒロミさんの個展を開くつもりです。
雑誌の表紙絵だとか、ミニコミの挿絵など、絵の整理もかねて追々と飾
っていきます。お楽しみに。「あまね通信」とか「草の根通信」の現物
も見てもらうようにしますね。5月はヒロミさんの誕生月でもあります。
天音は6月。生きておれば、二十三歳。いまだ恋してます。

☆岡本尚子さんの連載「家事細見帖」はしばらく休載です。書く仕事で
お忙しいようです。うちらはゆっくり待つつもり。「そよ風のように街
に出よう」で、彼女の文章は読めます。
〇「そよ風のように街に出よう」(図書館にあるかも)
http://www.hi-ho.ne.jp/soyokaze/newest.htm

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◎本誌は【1行32字】で改行、閲覧には【等幅フォント】が推奨です◎
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月刊【そぞろ通信】3月号_#30□2004_3_28発行配信
創刊2001-10-16□「あまね通信」改題通巻115号

編輯発行人□山口平明(天音堂ギャラリー)

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※転送したいとき先様のアドレスを知らせてもらえば直接配信します
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*「そぞろ通信」するりと弥生号ココマデデス。あなたの近況お便りく
ださい。
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by amanedo_g | 2008-08-31 19:10 | haymay 山口平明
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