【あの頃・母と】
銅版画作品「あの頃・母と」を、バラバラにして手彩色した3枚の中の1枚。
このタイトルは「With mother in the evening」。
こうして抱きしめていれば、なんとか3,4時間は眠れるようになったのは、
そろそろ4歳になる頃だったかしら。
朝までこのまま抱かれていても、大きな発作(ケイレン)は何度も起きたから、
眠りは妨げられるけれど、しっかりと守られているという思いで、
天音は耐えられたのでしょう。
強く抱きしめれば抱きしめるほど、安堵の表情をして、
妙なるささやきの息を吐くのでした。
私もまだ若かったから、毎夜のこの儀式は続けられ、
母としての充足感も感じていたのは確か。
こんなに求められ、すがりつかれ、愛されるなんて、もう2度とない。